ベルギービールを1ページで語ること、これほど難しいことはありません。
ベルギーには、大小さまざまな醸造所がたくさんあり、それぞれに特徴のあるビールを造っています。
それでもあえて分類するならば、「ランビック」「白ビール」「トラピストビール」「セゾン」「ゴールデンエール」「アビィ」などとなるでしょう。
ランビックは、天然の酵母を自然発酵させて作ります。その過程で空気中の雑菌なども取り込み、酸味の高いビールに仕上がるのです。
初めてランビックを飲む人は、その酸っぱさに驚くでしょう。しかし、これに病み付きになったら、あなたもベルギービールファンです。
セゾンは、ベルギー南部の小さな家族経営的な醸造所で造られているビールです。
色・香り・味わいなどではなく、醸造所の形態で分類されるところも、ベルギービールの面白さかも知れません。
ゴールデンエールは、その名の通り、黄金色に輝く美しい色合いを持ったビールです。
アルコール度数が高いことにも特徴があります。
ゴールデンエールという名を付けたのは、ロックシンガーでもありビール評論家としても知る人ぞ知る、マイケル・ジャクソンなのだそうです。
写真左にあるのが、ランビックの一つ「ベルビュー・クリーク」です。
全く香辛料を加えない「グーズ」と呼ばれるビールもありますが、人気の高いものは、果汁などを加えたフルーツビールです。
「クリーク」とは、さくらんぼのこと。このさくらんぼビール(酒税法上、日本では発泡酒の扱い)は、唯一、樽生が定期輸入されているランビックです。
真ん中の写真が、白ビールの代表格「ヒューガルデン・ホワイト」です。
日本のベルギービールファンの中では、一番人気を誇っていると言っていいでしょう。
コリアンダーやオレンジピールを加えてあり、爽やかな飲み心地となっています。
アルコール度数も低めなので、初めてベルギービールに接する人には一番のお勧めとなります。
右に見えるのは、ゴールデンエールの一つ「デュベル」です。
4種類の大麦モルトとホップのみで醸造した、本格派のビールです。
普通の感覚で飲めるのに、アルコール度数が高いことから、「世界一魔性を秘めたビール」などと言われます。
最後に、「トラピストビール」についてのトリビアを。
中世、十字軍の時代に、遠征した軍人をもてなし、宿を提供したのは、修道院でした。修道女たちは、兵士たちに、自家製のパンとワインを与えたのです。
しかし、ベルギーでは、ワイン製造に適したブドウを栽培することができませんでした。
そこで、ワインのかわりに提供しようと、修道院でのビール醸造が始まったのです。
現在トラピストビールを造る修道院の脇には、直営のレストランがあります。ベルギーをご旅行の際は、ぜひ立ち寄ってみてください。