日本で多く飲まれているビールは、ラガータイプのビールです。
ラガーとは、低温で酵母を発酵させて作るタイプのビールのことです。発酵のときに酵母が下層へ沈むことから、下面発酵ビールとも呼ばれます。
この方式は、大量生産に向いており、急速に開発が進みました。
また、適度な苦みと爽快な喉ごしを実現できるため、蒸し暑い日本の夏にはぴったりのビールということで、多くの日本人に愛飲されています。
しかし、逆にビール通に言わせれば、これが弊害ともなってきています。
日本の大手醸造会社が製造するビールは、どれも似たり寄ったりの味わいということになってしまうのです。
近年は、プレミアムビールと言われる、麦芽100%の高級商品が登場しています。
確かに、従来のラガービールや安さを追求した発泡酒よりは、ホップの苦みも麦芽の香りも、充分に楽しめるでしょう。
モンドセレクションにおいて、3年連続で金賞を受賞したのも、日本のプレミアムラガービールでした。
一方、日本のビール業界には、原点回帰の動きも見られます。
すなわち、キリン・クラシック・ラガーのように、一度は味を変えて消えてしまった銘柄を、復活させているのです。
日本ほど、ラガーばかりの国は、世界を探してもないでしょう。
しかし一方で、日本ほど、ラガーだけで微妙な違いを引き出せる醸造技術を持った国も、他にはないでしょう。